第46回理学療法士国家試験PM86
問題
腰椎椎間板ヘルニアについて正しいのはどれか。
1.椎間板の前方突出が多い。
2.第3・4腰椎間で最も多く発生する。
3.第3・4腰椎間で生じると膝蓋腱反射が亢進する。
4.第4・5腰椎間で生じると下腿三頭筋の筋力低下を認める。
5.第5腰椎・第1仙椎間で生じるとアキレス腱反射が低下する。
解答:5
解説
1.突出方向は後方が多い。
2.腰椎椎間板ヘルニアの好発部位は第4・5腰椎間である。
3.第3・4腰椎間で発生すると、膝蓋腱反射は減弱する。
4.第4・5腰椎間で発生すると、長母趾伸筋や前脛骨筋の筋力低下が生じる。
5.第5腰椎・第1仙椎間で発生すると、アキレス腱反射は減弱する。
腰椎椎間板ヘルニアの概要
腰椎椎間板ヘルニアでは、椎体と椎体の間にある椎間板内部の髄核が突出してくることにより脊髄が圧迫され神経症状が出現する。好発部位は第4腰椎と第5腰椎の間であり、椎間板ヘルニアの8割以上を占めるという報告もある。
理学療法士国家試験で出題される椎間板へニアの問題で重要になるポイントは、以下の3つである。
- どのレベルで障害されているか(高位判定)
- 障害された神経根の支配筋は何か
- 障害された神経根の感覚領域はどこか
これらを把握することができていれば、基本的には回答へたどり着く事ができるはずだ。以下は椎間板ヘルニアの解剖学的状態を模式図で表したものである。まずはどのような状態なのかを正確に把握しておこう。
腰椎椎間板ヘルニアの発生要因には、加齢による椎間板の退行性変性や物理的な負荷が挙げられる。頚椎椎間板ヘルニアは中高年で多いのに対し、腰椎椎間板ヘルニアは20~40代の男性と若年層にも発生することがある。
国家試験で問われる!
- 腰椎椎間板ヘルニアはL4-5間で最も多い
- 20-40代の男性に好発する
椎間板の突出と脊髄の障害に関して
椎間板ヘルニアでは椎間板の突出によって脊髄が障害を受ける。例として、L4.5間のヘルニアではL5以下の神経が障害を受ける。基本的には以下の図を参考にして、1つ下のレベルの神経根が障害されると認識すれば問題ない。
国家試験で問われる!
- 1つ下のレベルの神経が障害されるイメージを持っておく
障害される筋について
腰椎椎間板ヘルニアの問題では障害される神経のレベルが提示され、影響を受ける筋を答える問題が頻出している。以下の表を暗記しておけば正答できるので、参考にして欲しい。
障害される神経根 | 出力が低下する筋 |
L4 | 大腿四頭筋 |
L5 | 前脛骨筋・足趾の伸筋群 |
S1 | 下腿三頭筋 |
障害されるに反射ついて
反射の減弱・過反応に関しても以下の表を覚えておけば、正答することができる。
障害される神経根 | 影響を受ける反射 |
L4 | 膝蓋腱反射減弱・大腿神経伸張テスト陽性 |
L5 | 特になし |
S1 | アキレス腱反射減弱 |
障害される表在感覚について
障害を受ける表在感覚領域も併せて問われることがある。多くは問題文の中にヒントがあるため、以下の図と照らし合わせながら回答していきたい。
障害される神経根 | 影響を受ける領域 |
L4 | 下腿内側・足部内側 |
L5 | 下腿外側・足関節背部 |
S1 | 足底・足部外側・下腿後面 |