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内科学 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 拘束性換気障害 神経内科学 肺疾患 運動学

閉塞性換気障害を呈するのはどれか。2つ選べ。【第44回理学療法士国家試験PM72】

第44回理学療法士国家試験PM72

問題

閉塞性換気障害を呈するのはどれか。2つ選べ

1. 肺気腫

2. 肺線維症

3. 慢性気管支炎

4. うっ血性心不全

5. 筋ジストロフィー

解答:1 3

解説

1.肺気腫→閉塞性肺疾患

2.肺線維症→拘束性肺疾患

3.慢性気管支炎→閉塞性肺疾患

4.うっ血性心不全→拘束性肺疾患

5.筋ジストロフィーにおける呼吸不全→拘束性肺疾患

 

閉塞性換気障害とは

閉塞性換気障害とは、炎症のため気道が狭くなってしまい瞬発的な呼出ができなくなった状態のこと。肺内に空気が残りやすくなるため、肺のコンプライアンス(膨らみやすさ)は上昇する。

1秒率(FEV1%)が70%以下の場合、閉塞性換気障害であると判断する。

国家試験で問われる!

・肺コンプライアンスは上昇(拘束性→肺コンプライアンスが低下)

・1秒率70%以下(拘束性→肺活量80%以下)

気道が原因で発症する(拘束性→肺胞が原因)

 

肺気腫

肺胞壁が拡大しすぎることで生じる閉塞性換気障害である。気管支には平滑筋が付着しており、これによって肺胞および肺胞へつながる気管支は常に広がった状態となっている。

肺気腫では肺胞が拡大しすぎる事によって平滑筋と気管支が分断されてしまう。そのため、肺胞へつながる気管支が閉ざされ、肺胞の破壊も起こる。肺気腫による気管支の閉塞及び肺胞の破壊は不可逆的(元に戻らない・治らない)である。

主な症状には、咳・痰の増加・息切れ・呼吸困難などがある。

慢性気管支炎

気管支腺が肥大することで気道の狭窄が生じる。気管支腺とは、気管支に入ってきた異物をキャッチするための粘液を産生している器官のこと。慢性気管支炎だと痰(たん)が溜まりやすく、さらに気道抵抗が上昇する。

主な症状には、の増加などがある。

 

拘束性換気障害とは

拘束性換気障害では、肺(肺胞)の柔軟性が低下することにより肺が縮小してしまう。肺コンプライアンスは低下する。

%肺活量(%VC)が80%以下の場合、拘束性換気障害であると判断する。

国家試験で問われる!

・肺コンプライアンスは低下(閉塞性→肺コンプライアンスが上昇)

・%肺活量80%以下(閉塞性→1秒率70%以下)

肺胞が原因で発症する(閉塞性→気道が原因)

 

肺線維症

肺胞が線維化してしまい、拡張不全が生じた状態である。肺胞が十分に広がらないため、肺活量が低下する。捻髪音(ねんぱつおん:パチパチという音)吸気時に聴取することができるほか、単純X線写真にてすりガラス陰影を認める。

主な症状には、乾性咳嗽息切れなどがある。

(肺の症状が含まれる)うっ血性心不全

うっ血性心不全では、何らかの原因により心臓が正常に働かなくなり、各器官において血液循環に異常が生じる。(うっ血性心不全自体が肺の病気なのではなく、うっ血性心不全によって肺に影響が出ると拘束性換気障害になる、ということ)

心臓のうち左心(左心房と左心室)に異常が生じると、肺から送られてきた血液を全身へ送る力が低下する。すると、肺静脈内を通して血液の渋滞が生じる。結果的に、肺では肺胞周囲に血漿成分が染み出してしまい、肺胞の拡張が障害される。

筋ジストロフィーにおける拘束性換気障害

筋ジストロフィーは、筋肉を構成しているタンパク質の遺伝子に異常が発生し、全身の筋が徐々に破壊されていく病気である。人間は息をする際、呼吸筋(内・外肋間筋や横隔膜など)を利用して肺を外部から広げている。また、肺胞を常に広げておくために平滑筋が存在している。しかし、筋ジストロフィーの末期ではこれらの筋にも障害が発生する。

結果的に、肺を上手く拡張することができなくなり、拘束性換気障害をきたす。

 

閉塞性・拘束性換気障害の判断方法

閉塞性換気障害と拘束性換気障害を見分けるには、問題文からいくつかのポイントを抽出する必要がある。特に注目したい単語は、1秒率・%肺活量であり、以下の画像で簡単に判断することができる。

 

類似問題に挑戦!:第56回理学療法士国家試験PM91

問題

特発性肺線維症について正しいのはどれか。

1. 特発性間質性肺炎の中で予後が最もよい。

2. 胸部で捻髪音を聴取することが多い。

3. 湿性咳嗽が主症状である。

4. 閉塞性換気障害を示す。

5. 急性増悪は稀である。

解答:

解説

1.特発性間質性肺炎の予後は悪い3年~5年ほどで死亡することが多い。

2.肺線維症は拘束性換気障害であるから、聴診にて捻髪音を聴取することができる。

3.湿性咳嗽が出現するのは基本的に気道の炎症である。

4.肺線維症→拘束性換気障害

5.急激な増悪を認める事がある。原因は不明である。

今回の内容を知っていれば、2番以外の選択肢がわからなくても確実に正解することができるはずです!国家試験では、明らかに難易度の高い難しい語句が選択肢に混ざっていることもあります。焦らずに読み込めば、知っている知識のみで簡単に正解することができますよ。

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