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脳性麻痺・GMFCSによるレベルはどれか。【第47回理学療法士国家試験PM17】

第47回理学療法士国家試験PM17

問題

4歳10 か月の男児。脳性麻痺。現在、割り座であれば床上で座位保持が可能であり、椅子上での座位は自立している。立位は、物につかまれば保持できる。歩行には車輪付きの歩行器を利用しており、介助があれば階段を昇ることができる。

Gross Motor Function Classification System(GMFCS)によるレベルはどれか。

1. レベルⅠ

2. レベルⅡ

3. レベルⅢ

4. レベルⅣ

5. レベルⅤ

解答:

解説

1.歩行には車輪付きの歩行器を利用→不適切

2.歩行には車輪付きの歩行器を利用→不適切

3.手に持つ器具を利用して歩いている→適切

4.介助があれば階段を昇ることができる→介助はなくても歩行ができる→不適切

5.介助があれば階段を昇ることができる→介助はなくても歩行ができる→不適切

 

類似問題:第46回理学療法士国家試験AM14

問題

3歳11ヶ月の男児。6か月時に脳性麻痺と診断され、療育センターで通所の理学療法を受けている。現在、割り座であれば座位保持が可能であり、床上は四つ這いで移動できるが、交互性はない。最近、PCウォーカーで短距離の歩行が可能になったが、方向転換には介助が必要である。Gross Motor Function Classification System(GMFCS)によるレベルはどれか。

1. レベルⅠ

2. レベルⅡ

3. レベルⅢ

4. レベルⅣ

5. レベルⅤ

解答:

解説

1.PCウォーカーで短距離の歩行が可能→不適切

2.PCウォーカーで短距離の歩行が可能→不適切

3.PCウォーカーで歩行が可能→適切

4.PCウォーカーで短距離の歩行が可能→制限はない→不適切

5.PCウォーカー短距離の歩行が可能→不適切

 

類似問題:第51回理学療法士国家試験AM89

問題

6〜12歳におけるGMFCSレベルと動作能力の組合せで正しいのはどれか。

1. Ⅰ-階段で手すり使用

2. Ⅱ-装具なしで歩行

3. Ⅲ-不整地の歩行

4. Ⅳ-通常の椅子で座位保持

5. Ⅴ-寝返り可能

解答:

解説

1.手すりが必要なのでⅠではない。

3.Ⅲでは座位保持や立位が自立しているが、不整地歩行までは自立していない

4.車椅子電動車椅子を利用している事が多く、自力での移動もできないことから通常の椅子での座位保持は厳しい。

5.レベルⅤではほぼすべての動作で介助が必要。

2.1,3-5を排除して、残った選択肢が2となる。装具なしで歩行できるというだけで、歩行補助具などは使用している可能性もある。

 

Gross Motor Function Classification System(GMFCS)とは

Gross Motor Function Classification System(GMFCS)とは、脳性麻痺児に対して行う評価で、粗大運動能力を検査することができる。健常児であれば遂行可能な全88個の項目から構成され、達成度によって評価する。判定はレベルⅠ~Ⅴまでの5段階である。

 

国家試験で問われる!

  • GMFCSは脳性麻痺児粗大運動評価尺度である
  • 全部でで88個の項目がある。
  • 判定はレベルⅠ~Ⅴまでの5段階

 

PT国家試験におけるGMFCS

理学療法士国家試験において、GMFCSの問題を解く際に必要となる知識は、動作とレベルの対応である。各レベルの判定自体はそこまで込み入ったものではないため、暗記に労力は要さないが、過去問の傾向として、長い問題文からレベルを特定するという形式が多い。文章からGMFCSレベル判定の基準となるキーワードを見つけ、適切な判断をすることが得点のポイントとなる。

さらに、GMFCSに関する問題は問題文が長いことから、実地問題で出題されやすい。基準を知っていれば容易に正解を見つけることができるため、確実に得点したいジャンルである。

 

運動と段階づけ

レベルⅠ

レベルⅠでは、"制限なしに歩く"という大まかな分類がされている。イメージとしては健常児と変わらないということである。しかし「健常児と変わりません→答えはレベルⅠ」では、問題の難易度が下がりすぎるため、GMFCSのレベルを判定する設問においてレベルⅠが正答になることはほぼ無いと言っても過言ではない。

独歩が不自由なくできるという点も見分けるポイントになる。

国家試験で問われる!

  • ほぼ健常児と同様の運動が可能
  • 独歩が不自由なくできる

 

レベルⅡ

レベルⅡは、"制限を伴って歩く"という分類である。自分の力で歩くことはできるが、問題中では伝い歩きや手すりでの歩行をしていることが多い。独歩少ししかできないか、ほぼできない。それ以外の点でⅠとⅡを見分けるのは難しいことが多いので、歩行という点でキーワードを探してみるとよい。ちなみに、補助具はなくても歩くことができる。

 

国家試験で問われる!

  • 独歩ほぼできない
  • 補助具無くても歩ける
  • 伝い歩き手すりでの歩行が多い。

 

レベルⅢ

レベルⅢでは、"手に持つ移動器具を利用して歩く"という分類がされている。レベルⅢになると、Ⅰ・Ⅱとは大きく異なる点が多くなるため見分けやすいうえ、正答になっていることも多い。

伝い歩きはもちろん、つかまり立ちもすることができない。加えて、自力での座位保持不可である。しかし、補助具を利用すると移動が可能であり、PCウォーカーや自分で駆動する車椅子などを利用していることが多い。また、割り座で支持基底面を広げればなんとか座位が可能である。

国家試験で問われる!

  • 自力での伝い歩き立位・座位保持できない
  • 割り座であればなんとか座位保持ができる
  • 補助具を利用すれば移動できる

 

レベルⅣ

レベルⅣでは、"制限を伴って自動移動"という分類がされている。ここでいう「自動移動」とは、「自分の力で動く」ということではなく「自動的に動くor動かしてもらう」というニュアンスであることに注意したい。

補助具を用いて歩行するときには介助が必要であり、車椅子の駆動方式も自力ではなく電動になる。レベルⅢとの違いに関しては、肘這い・腹這いできなくなることなどが挙げられる。加えて、座位保持できなくなる

国家試験で問われる!

  • 移動時は介助が必要である。
  • もしくは電動の移動手段を用いる必要がある。
  • 肘這い腹這い不可
  • 座位保持できない

 

レベルⅤ

レベルⅤでは、"手動車椅子で移送される"という分類になっている。Ⅴはほぼ全介助なので、容易に判断することができる。こちらに関してもレベルⅠと同様、設問の難易度が下がりすぎるので正答になることは少ない。

つまり、GMFCSのレベル判定問題実質3択(2・3・4)であるということになる。

国家試験で問われる!

  • ほぼ全介助

 

簡単に3点をGETする裏ワザ

ここまではGMFCSの詳細や分類方法について紹介したが、理学療法士国家試験であればもっと簡単に得点できる事が多い。いざという時のために以下のフローチャートを覚えておくと更に時間短縮できる。

このフローチャートが利用できる条件は以下のとおりである。

  • 歩行補助具を用いた歩行の有無について書かれていること
  • 座位保持の可否がわかること

念のため問題文を読むことは必須だが、より簡単に判断できるのでぜひ利用してみてほしい。

 

GMFCSに関するレベルごとの判別

上記のテクニックは国家試験回答時に利用することができる。しかし、実際は正確なレベル判別方法も理解しておいたほうがよい。以下には各レベルごとの判別ポイントについて記載する。

ⅠとⅡの違い

<レベルⅡは…>
階段昇降:手すりが必要になることがある。
屋内:移動器具が必要になることがある。
屋外:手に持つ歩行補助具が必要になることがある。

ⅡとⅢの違い

<レベルⅢは…>
屋内:手に持つ歩行補助具が必要である。
屋外:車輪の付いた歩行補助具を必要とする。

ⅢとⅣの違い

<レベルⅢは…>
座位保持や立位などの動作が自立もしくは最低限の外的支持で自立している。

<レベルⅣは…>
座位では活動できるが、自力での移動は制限される。
手動車椅子or電動車椅子を利用していることが多い。

ⅣとⅤの違い

<レベルⅤは…>
頭・体幹のコントロールが非常に制限される。
電動車椅子の利用方法を習得したときのみ、自力移動ができる。

 

 

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