第46回理学療法士国家試験AM58
問題
気管について正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 気管は食道の背側にある。
2. 気管分岐角は約70°である。
3. 右主気管支は左主気管支よりも太い。
4. 気管は第2胸椎の高さで左右に分岐する。
5. 左主気管支は胸大動脈の背側から肺に入る。
解答:2 3
解説
1.気管は食道の腹側にある。
2.気管分岐角は約70°である。
3.右主気管支は左主気管支よりも太い。
4.第5胸椎レベル(Th4~Th5)で気管が左右に分岐する。
5.左主気管支は胸大動脈(=大動脈弓)の腹側から肺に入る。
類似問題:第44回理学療法士国家試験PM17
問題
正しいのはどれか。
1. 気管は食道の背側に位置する。
2. 気管は第2胸椎の高さで左右に分岐する。
3. 気管支は心臓の前面で肺に入る。
4. 気管支の最末梢は区域気管支である。
5. 気管支周辺には多数のリンパ節がある。
解答:5
解説
1.気管は食道の腹側にある。
2.第5胸椎レベル(Th4~Th5)で気管が左右に分岐する。
3.気管支は心臓の後面で肺に入る。
4.気管支の最末梢は終末細気管支である。
5.気管支の周辺には多数のリンパ節が集合している。
5については以下が参考文献となります。
"胸部でリンパ節が最も密に連鎖をつくるのは気管の周囲であるから"
(日気食会報,50(2),1999 / 気管・食道のリンパ系の局所解剖:佐藤 達夫)P227
"Ⅰ . 縦隔リンパ節" の書き出し部分をご覧ください。
左右の気管支と気管分岐部
気管は第6頚椎くらいの高さから始まり、第4・5胸椎くらいの高さで左右の主気管支へと分岐する。気管と主気管支がなす角度(気管分岐角:きかんぶんきかく)は右が約25°、左が約45°であり、合計で約70°となっている。
主気管支の特徴としては、右主気管支は太く短い。左主気管支は細く長い。
これらの基本的解剖学は1点問題として頻出しているため、確実に覚えておきたい。
国家試験で問われる!
- 気管の起始部は第6頚椎くらいの高さ(C7でも基本的には正解)
- 左右の主気管支へと分岐するのは第4.5胸椎くらい
- 気管分岐角は右:25° / 左45° / 合計70°
- 右主気管支は太くて短い
- 左主気管支は細くて長い
気管と各臓器の位置関係
気管は基本的に心臓の後方・食道の前方に位置している。しかし、左主気管支は心臓から出ている大動脈の前方を通っている。この2点は国家試験でもよく出題されるが、以下の画像を覚えておくだけで迷わずに回答できる。椎骨との対応もチェックできるので、前述した高さも含めてしっかりと定着させよう。
ちなみに、背側(はいそく)とは後ろ側のこと、腹側(ふくそく)とは前側のことを意味している。
気管支と大動脈の位置関係
気管支と他臓器の位置関係
国家試験で問われる!
- 左主気管支は大動脈の腹側を通る
- 気管は心臓の後方
- 気管は食道の前方
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気管支の分岐に関して
気管は多数の分岐を繰り返して、最終的には肺実質の肺胞嚢まで到達する。しかし、気管支の分岐のみであれば、終末細気管支が最後となっているため注意が必要である。
なお、問題文中に登場していた区域気管支というのは4分岐あたりのことを指しており、気管支分岐の最終ではない。以下に対応表を掲載するので覚えておくとよい。
気管・肺に関する疾患
気管や肺に関する疾患には、「拘束性肺疾患」「閉塞性肺疾患」があり、以下で詳しく解説している。解剖学を定着させた後は疾患学も学び、高得点を狙おう。
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