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整形外科学 理学療法士向け 解剖学 (整形外科)骨・筋系 (解剖学)筋系

回旋筋腱板(Rotator Cuff:RC)の解剖・起始停止・運動について

回旋筋腱板(Rotator Cuff:RC [ローテーター・カフ])とは

回旋筋腱板(Rotator Cuff : RC)とは棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋からなる、板状の腱板のことである。4つの筋肉の腱部分はいずれも肩関節を包むように付着しており、肩関節の運動を補強している。以下には回旋筋腱板を構成している各筋肉の概要を紹介する。

 

棘上筋(Musculus Supraspinatus)

棘上筋(Musculus Supraspinatus)は肩関節外転作用を持ち、三角筋中部繊維の補助を担う。

  • 起始:肩甲骨棘上窩
  • 停止:上腕骨大結節
  • 支配神経:肩甲上神経(C5.6)

背側から↓

頭頂から↓

 

棘下筋(Musculus Infraspinatus)

棘下筋(Musculus Infraspinatus)は肩関節外旋作用を担っており、外転・水平外転時にも補助として作用する。他の回旋筋腱板と連動して働くことで、肩関節の安定化を担っている。形は三角形をしており、回旋筋腱板の中では比較的大きい筋肉である。

  • 起始:肩甲骨棘下窩
  • 停止:上腕骨大結節
  • 支配神経:肩甲上神経(C5.6)

背面から↓

矢状面↓

 

小円筋(Musculus Teres Minor)

小円筋(Musculus Teres Minor)は肩関節の外旋及び水平外転で働く筋肉である。上腕三頭筋腱部の後方を走行しており、大円筋・上腕三頭筋(長頭)とともに外側腋窩隙を構成している。

  • 起始:肩甲骨外側縁
  • 停止:上腕骨大結節
  • 支配神経:腋窩神経(C5.6)

背側から↓

矢状面↓

 

肩甲下筋(Musculus Subscapularis)

肩甲下筋(Musculus Subscapularis)は肩関節の内旋水平内転を担っている。他の3つの回旋筋腱板とは異なり、肩甲骨の内面に付着している。上腕骨の小結節が付着部となっているため、腋窩から触診することが多い。

前額面↓

前額面(肋骨除去)↓

 

第52回理学療法士国家試験AM53

問題

回旋筋腱板を構成する筋はどれか。2つ選べ。

1.棘上筋

2.肩甲挙筋

3.広背筋

4.小円筋

5.前鋸筋

解答:1 4

解説

1-5.回旋筋腱板を構成するのは棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋である。

 

補足情報

今回登場している筋肉の英単語は以下のようになっている。

肩甲骨との関わり

回旋筋腱板(RC)は肩甲骨(scapula)との関わりが非常に強いため、以下の記事も参考にするとより知識が深まるはずだ。

参考【触診解説】肩甲骨の解剖学と触診①(肩甲棘・肩峰角・肩峰)

触診技術シリーズ概要 日々の治療において必須の能力となるのが触診である。学生の間は論理的思考能力を向上させることが優先課題となるため、触診技術に関してはそこまで重要視されていないケースも散見される。こ ...

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肩関節の運動と可動域制限因子

肩関節の可動域測定を行った際の制限因子に関しては、大まかに以下の通りとなっている。

1st外旋 肩甲下筋三角筋前部線維・腱板疎部領域
2nd外旋 肩甲下筋三角筋前部線維・烏口腕筋広背筋
3rd外旋 肩甲下筋大円筋広背筋
1st内旋 三角筋後部線維・棘下筋
2nd内旋 三角筋後部線維・棘下筋小円筋
3rd内旋 小円筋三角筋後部線維
内転 棘上筋三角筋
外転 内旋に関わる筋の柔軟性低下

なお、上記は臨床上散見されることが多い可動域制限因子であるため、教科書・参考書上の可動域制限因子とは一部異なる可能性がある。

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