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【図付き】肩の整形外科的テスト(8種)/腱板損傷・腱板断裂・肩インピンジメント症候群

腱板断裂・損傷の整形外科的テスト

腱板断裂腱板損傷の整形外科的テストには、フルカンテストエンプティカンテストリフトオフテストベリープレステストベアハグテストなどがある。棘上筋肩甲下筋小円筋をテストするのが一般的である。

 

フルカンテスト(Full Can Test)【棘上筋】

フルカンテスト(Full Can Test)棘上筋の機能を検査するための整形外科的テストである。母指を上向きにした状態で肩関節を90°外転位にし、前腕部分に抵抗をかける。この際に痛みが出れば損傷などの可能性があり、肩甲帯挙上などの代償動作が見られれば、機能低下が疑われる。

 

エンプティカンテスト(Empty Can Test)【棘上筋】

エンプティカンテスト(Empty Can Test)も同じく棘上筋の機能を検査するための整形外科的テストである。文献によっては棘下筋の機能を検査するためのテストであると記載されていることもあり、臨床においては療法士によって使い分けが異なるケースも散見される。

大切になるのは、エンプティカンテストのみで判断するのではなく、他のテストや評価と組み合わせながら原因を追求することである。棘下筋の機能に関しては、単純な外旋MMTでも評価できるため、そちらを実施してみるのも一つの策である。

方法はフルカンテストの逆であり、母指を下向きにした状態で前腕に抵抗をかける。

 

ベリープレステスト(Berry Press Test)【肩甲下筋】

ベリープレステスト(Berry Press Test)肩甲下筋の機能を検査するための整形外科的テストである。手掌を腹部に当てた状態から、手関節より肩関節外旋方向(手を引き剥がす方向)へ抵抗をかける。疼痛が出現すれば損傷や炎症の可能性があり、力が弱ければ機能低下が疑われる。

代償動作としては、肘が体側へ移動したり(肩の内転)、手関節が掌屈したりする。肩関節が前方突出してくることもあるので、抵抗をかけていないほうの手で肩関節を固定するとなおよい。

 

ベアハグテスト(Bear Hug Test)【肩甲下筋】

ベアハグテスト(Bear Hug Test)肩甲下筋の機能を評価するための整形外科的テストである。肩関節の屈曲制限があるとそもそも実施できないので、そのときはベリープレステストを行うとよい。

方法としては、手を対側の肩に当てた状態をとらせ、手関節付近から手を引き剥がすように水平外転方向へ抵抗をかける。状態をキープすることができなければ陽性となり、肩甲下筋の機能低下が疑われる。肩甲帯を後上方へ挙上(僧帽筋や肩甲挙筋・菱形筋)して代償することがあるので注意が必要である。

 

リフトオフテスト(Lift Off Test)【肩甲下筋】

リフトオフテスト(Lift Off Test)肩甲下筋の機能を評価するための整形外科的テストである。開始肢位が結滞肢位となるため、そもそも実施できない事がある。そのときはベリープレステストを行うとよい。

方法としては、手背を背中に付けた状態からスタートして手背を背中から離すように患者自身が動かす。離すことができなければ陽性であり、肩甲下筋の機能低下が疑われる。

 

肩関節外旋ROM(Lag Sign)【棘下筋】

肩関節外旋のROM測定も有効である。整形外科的テスト的には「Lag Sign(ラグサイン)」ともいうが、大切なのは名前よりも正確に評価することであり、臨床的にはどちらでもよい。左右差をしっかりと比較するようにしたい。外旋制限があれば、内旋筋である棘下筋の短縮などが疑われる。

ラグサインに抵抗を加えた変法(といっても外旋のMMTだが)で検査をすれば、機能低下も同時に検査することができる。なお、同じ肩外旋筋の小円筋テストについては、インピンジメント症候群の部分で後述するホーンブロワーテストが有効である。

 

肩インピンジメント症候群の整形外科的テスト

肩インピンジメント症候群の整形外科的テストには、ペインフルアークサインホーキンステストニアテストなどがある。ペインフルアークサインは他動外転90°から手を離せばドロップアームサインとなり、棘上筋のテストに流用できる。また、ホーキンステストに関しては肢位を変えることでホーンブロワーテストとなり、腱板のテストとしても流用できる。

 

ペインフルアークサイン(Painful Arc Sign)

ペインフルアークサイン(Painful Arc Sign)肩関節の外転自動運動で評価する。外転60°~100°くらいで疼痛が出現し、120°付近で消失すれば陽性である。

90°まで他動外転させ、そこで手を離せばドロップアームテストとなり、棘上筋(肩外転)の機能評価もできる。保持できなければ陽性となる。

 

インピンジメントテスト(ホーキンス法)(Impingement Test / Hawkins)

ホーキンス法(ホーキンステスト)(Impingement Test / Hawkins)では、肩2nd中間位から内旋方向へ抵抗を加える。疼痛が発生すれば陽性となる。

開始肢位を2nd外旋位として、内旋方向へ抵抗を加えればホーンブロワーテストとなり、小円筋の機能低下を評価することもできる。

 

インピンジメントテスト(ニア法)(Impingement Test / Neer)

ニア法(ニアテスト)(Impingement Test / Neer)では、肩甲骨を固定した状態肩関節を他動外転させる。疼痛が発生すれば陽性となる。肩甲骨は肩甲上腕リズムによって外転60°付近から上方回旋を開始するが、それを阻止した状態で外転させることでインピンジメントの評価となる。

 

肩甲骨・腱板の解剖について

整形外科的テストの内容を理解するためには解剖学の知識が必須となる。肩甲骨・回旋筋腱板(ローテーターカフ)の解剖については以下で紹介しているので、不安な場合は確認しておこう。

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触診技術シリーズ概要 日々の治療において必須の能力となるのが触診である。学生の間は論理的思考能力を向上させることが優先課題となるため、触診技術に関してはそこまで重要視されていないケースも散見される。こ ...

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